加圧トレーニングで若返る？
巷で、加圧トレーニングで
成長ホルモンが２９０倍になる
という話が出回っています。
これは、実際の研究の結果で、
嘘ではありません。
成長ホルモンが、
ずっと増え続けるわけではなく、
加圧トレーニングをしてから、
１５分後ぐらいに血液中の
成長ホルモンがピークになります。
それが、安静時、つまり
トレーニング前の成長ホルモンの
濃度に比べて、２９０倍になった
というのが正しい言い方になります。
ですから、成長ホルモンが
ずっと２９０倍になっている
という意味ではありません。
その後は下がっていって、
元に戻っていきます。
こういった誤解をしている人が
多いのですが、それ以外にも
いろいろな誤解があります。
特に多いのは、
成長ホルモンだけが増えると
思っている方です。
ホルモンというものは、
いろいろなところから
分泌されます。
そのうちの多くは
脳から分泌されます。
たとえば、成長ホルモンは
脳下垂体というところから
分泌されるのですが、
他のホルモンも同じ場所から
分泌されます。
何らかの刺激によって、
分泌が促されるのですが、
成長ホルモンだけが増えて、
他が全く影響を受けないと
いうことは通常あり得ません。
ですから、加圧トレーニングで
成長ホルモンが２９０倍まで
増えるということは、
他のホルモンにも少なからず
影響があるということです。
たとえば、運動した時には、
男性ホルモンの一種である
テストステロンの分泌も増えます。
ですから、加圧をした時にも、
テストステロンの分泌が増えます。
最近は、男性更年期と言って、
男性もある程度の年齢になると
元気がなくなると言われますが、
それもテストステロンの分泌が
影響しています。
こういったホルモンも、
加圧によって分泌が増えることが
わかっています。
他にも、加圧には、
あまり知られてない効果があります。
そのうちの１つは、
成長ホルモンを
効率よく分泌させる方法です。
私が、特に注目したのは、
腕の加圧トレーニングです。
腕に加圧ベルトを巻いて
運動をしただけで
脚のトレーニングをした時と
同じぐらいの成長ホルモンが
分泌されます。
上のグラフの白色が腕で、
黒色が脚を表しています。
１５分後に、成長ホルモンの
値がピークになります。
腕のトレーニングをしただけでも、
脚の場合とほぼ同量の
成長ホルモンが分泌されます。
脚と腕と、どちらの
トレーニングがきついかと言うと、
脚の方がきついですが、それほど
きついトレーニングをしなくても
成長ホルモンが出るということです。
女性で、若さを維持したいと言う方には、
この話は朗報ではないでしょうか。
なぜ、腕のトレーニングだけで
成長ホルモンが出るのでしょうか。
何らかの刺激によって
分泌が促されるのですが、
その有力な候補として
考えられるのが、乳酸です。
加圧をすると、筋肉に
乳酸がたくさん溜まります。
それが脳を刺激して、
成長ホルモンの分泌が
増えているのではないかと
考えられます。
他にも、いろいろな効果が
期待できます。
その１つが、
血管を増やす効果です。
動脈硬化などが進んでくると、
血管が詰まってしまう人がいます。
それを治療する方法として、
血管新生療法というものがあります。
詰まってしまった血管の代わりに、
血管を新しく増やす治療法です。
人間の体は、血流を制限すると、
それに抵抗して血流を増やそうとしたり、
血管を増やす方向に働きます。
これも、ホルモン、もしくはホルモンに
類似した物質が関係しています。
加圧トレーニングをした時に、
このような血管を増やす物質が
増えるかどうかを調べました。
上のグラフのVEGFというのは、
血管新生因子といって、
血管を増やす物質の一種です。
加圧トレーニング後の
血液中の濃度を調べた結果、
この物質が増えることが分かりました。
これは、東大病院時代に研究して、
世界で初めて見つけたものです。
こういった結果から、
加圧を続けることで、
毛細血管、つまり細かい血管が
増えることが期待できるのではないか
と考えられます。
まとめると、加圧を定期的に
やっていくことによって、
成長ホルモンや、血管を
増やすような物質も分泌されます。
若返り、若さを維持していくためにも
効果的だと考えられるので、
まだ加圧をやってない方も、
チャンスがあれば、
ぜひ試してみてください。
よろしければ、動画も
ぜひご覧になって下さい。
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