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安楽死は是か非か

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安楽死は是か非か

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先日から報道されている

ALS嘱託殺人を元に、安楽死について

考えていきたいと思います。

 

ちなみに、ALSとは、

筋委縮性側索硬化症のことです。

 

どんな病気か簡単に言うと、だんだん体が動かなくなります

最後は手足も動かず、目しか動かせなくなることもあります。

人工呼吸器も必要になります。

 

今回亡くなったのは、そのALSの患者さんです。

この患者さんに医師2名が薬物を投与して、

殺害したのです。

 

この患者さんが、医師に殺害を依頼したということで、

いわゆる嘱託殺人が問題になっています。

 

このような安楽死について、

日本ではどのように扱われているか、

ウィキペディアを見てみましょう。

 

積極的安楽死(せっきょくてきあんらくし)とは、

致死性の薬物の服用または投与により、死に至らせる行為である。

医療上の積極的安楽死の場合は患者本人の自発的意思に基づいて、

自ら致死性の薬物を服用して死に至る行為、

または、要求に応じて、患者本人の自発的意思

(意思表示能力を喪失する以前の自筆署名文書による事前意思表示も含む)

に基づいて、他人(一般的に医師)が患者の延命治療を止めることである。

 

積極的安楽死の法的扱い

自分で積極的安楽死を行った(未遂も含む)場合は、

自殺なので犯罪にはならない。

 

日本では他人による積極的安楽死は

法律で明確に容認されていないので、

他人が積極的安楽死を行った(未遂も含む)場合は、

法上殺人罪の対象となる。

 

ただし、名古屋安楽死事件や、

東海大学病院安楽死事件の判例では、

下記の厳格な条件を全て満たす場合には

違法性は無いために阻却される

(刑事責任の対象にならず有罪にならない)と述べている。

 

一般的に他人(一般的には医師)が行う場合は

下記の4条件を全て満たす場合に容認される

(違法性を阻却され刑事責任の対象にならない)。

 

  • 患者本人の明確な意思表示がある(意思表示能力を喪失する以前の自筆署名文書による事前意思表示も含む)
  • 死に至る回復不可能な病気・障害の終末期で死が目前に迫っている。
  • 心身に耐えがたい重大な苦痛がある。
  • 死を回避する手段も、苦痛を緩和する方法も存在しない。

 

ウィキペディアにはこのように書かれています。

 

比較的新しい1995年の東海大学病院の安楽死事件では、

下記の4つの条件を満たさない場合は違法と

認定されたということです。

 

  1. 患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいる。
  2. 患者の病気は回復の見込みがなく、死期の直前である。
  3. 患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために可能なあらゆる方法で取り組み、その他の代替手段がない。
  4. 患者が自発的意思表示により、寿命の短縮、今すぐの死を要求している。

 

そうなると、今回のようなALS嘱託殺人のケースは、

これには当てはまりません。

 

では、今回のケースにおける、

専門家の意見を見ていきましょう。

 

医療倫理の専門家である

前田正一氏(慶応大教授)の意見は次の通りです。

 

「国内で安楽死が事実上認められていないのは、

医療に関わる者にとっては常識。

 

仮に患者側が望んでいたとしても、

死期が迫っていないのに、死に至る薬を投与したのは、

要件からも完全に逸脱しており、医師として非難に値する行為だ」

 

また、生命倫理や死生学の専門家

安藤泰至氏(鳥取大医学部准教授)の意見は、

次の通りです。

 

「治療を担当してもいない患者を殺すのは安楽死ではない。

この事件を直接に安楽死や尊厳死の是非についての

議論に結びつけることに、私は違和感があります。

 

今回の女性の死は安楽死と言えないのに、

議論をすることで安楽死と受け止められてしまわないかと

危惧するからです。

 

2人の医師は患者の治療者ではありません。

手を尽くすどころか、治療を担当していなかった

患者を殺した疑いをもたれているわけです。

嘱託殺人の容疑者が、たまたま医師であっただけで、

安楽死とは言えない」

 

確かに、今回の事件を、

安楽死として扱うのはどうかという問題はあります。

 

では、一般的な安楽死、あるいは

尊厳死は認めるべきなのでしょうか?

 

私自身は、

安楽死を容認してもいいのではないかと考えます。

 

もちろん、いろいろな条件を決める必要はありますが、

そういった意見を私は持っています。

 

医療では、予後という言葉を使います。

 

たとえば、ガンの患者さんが手術をした後に

5年生きたとしたら、予後5年というように言います。

 

西洋医療のゴールは、この予後、

つまりどれだけ生きたかになります。

 

しかし、どれだけ生きたかが全てではない私は考えます。

長く生きることよりも、

充実した人生を生きることの方が大切です。

 

体が動かなくなっても充実していて、

「できる限り生きたい」と言う人もいますが、

そうではない人もいます。

 

「自分はもう生きていたくない」と言う人に関しては、

何らかの条件設定をして、安楽死を

認めてもいいのではないでしょうか。

 

また、これは高齢者の医療などにも通じます。

日本の場合、国民皆保険制度で、全ての国民が、

ありとあらゆる高度な医療受けることができます。

 

このようなシステムは、

世界中を見ても日本にしかありません。

 

このシステムによって、多くの人が

生き長らえることが可能になっています。

 

しかし、それは本当に良いことなのでしょうか?

 

今後も、高齢者はどんどん増えていきます。

当然、人工呼吸器を使うような医療も

必要になっていきます。

 

生き長らえることだけがいいことなのかは、

もっと真剣に考える必要があります。

 

今回のALS嘱託殺人の問題は、

そういった問題だけを含んでいるとは限りませんが、

安楽死の問題や高齢者の医療問題にも通じる点があります。

 

もう一度、そういった部分を、

よく考えるきっかけになればいいと

私は考える次第です。

 

よろしければ、動画もぜひご覧になって下さい。

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https://youtu.be/LMbD269Rojs

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