仕事や勉強の集中力を高めるのは、実はそれほど難しいことではありません。
しかしながら、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
その重要なポイント5つを解説します。
集中力を高めるポイント1 時間を制限する
「いい仕事をするには、十分時間をかける必要がある」と思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、実は、これは間違いなのです。
パーキンソンの法則というのをご存知でしょうか。
これは、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが自著「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱したものです。
その第一法則が
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
というものです。
例えば、メールの返信をする時、時間がなくて急いでいる時は、簡単な内容で済ませますが、なまじ時間があると、つい丁寧に書き過ぎて時間がかかってしまった経験はないでしょうか。
このように、時間が十分あると思うと、余計なことに手間をとってしまい、結局制限時間いっぱいまで仕事が終わらない状況に陥るのです。
この話を聞いて、耳が痛い人が多いと思います。
時間が十分あると思って、ついだらだらしてしまったり、ツイッターやフェイスブックなど仕事と関係のないことで時間をつぶしてしまった経験がないでしょうか。
逆に、時間があまりないので、他のことは考えずに集中した結果、予想より速く終わったという経験もあると思います。
こうした現象からわかるように、同じ作業を短時間で仕上げるための最初のポイントは、ずばり、
時間を制限することなのです。
締め切りや時間制限を意識することなしに、作業時間を短縮することは不可能と言っても過言ではないのです。
集中力を高めるポイント2 計測できるものは改善できる
数年前、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』という本がベストセラーとなりました。
これは、経営学者として有名なピーター・F・ドラッカーの著書をモチーフとしてストーリー仕立てにしたビジネス書ですが、NHKでアニメ化されたり、映画化もされ、ドラッカーは一躍ブームになりました。
このドラッカーの著書「Management」の中に
What gets measured gets managed
という表現があります。
これは直訳すると
「計測できるものは、管理できる」
という意味になります。
経営においては、数字に基づいて管理をすることは当然必要になってきますが、企業経営に限らず、あらゆる分野でこの原則はあてはまります。
つまり、あなたが今取り組んでいる何らかの作業において、改善をしたいのであれば、計測はとても重要な鍵になるのです。言い換えれば、
「計測できるものは改善できる」
のです。
たとえば、ダイエットにおいて、体重を全くチェックせずに減量を行うのは極めて困難です。
そもそも体重自体が指標であり、目標なわけですから、それを計測するのは当然必要になります。
また、スポーツの分野も同様です。多くのスポーツにおいて、記録が伴います。
フルマラソンを例に挙げれば、1965年には日本の重松選手が出した2時間12分0秒が当時の世界記録ですが、2014年には、ケニアのキメット選手が2時間2分57秒という記録を打ち出し、いまや2時間の壁を切る日もそう遠くはないとまで言われています。
なぜ、これほどまでタイムが短縮したか。当然、様々な要因が考えられますが、やはり最も大きな要因はマラソンのタイムが「計測できる」ものであるということです。
もし、マラソンのタイムが計測できず、皆何となく、感覚だけを頼りに走っていたとしたら、ここまでの記録短縮はなかったでしょう。
マラソンに限らず、全ての「計測できる」スポーツにおいて、次々と世界記録が塗り替えられています。まさに「計測できるものは改善できる」のです。
これは仕事や勉強でも同様です。
何かの作業時間を短縮したいと望んでいるのであれば、「時間を計測する」という行為は、極めて重要なポイントになると言えるのです。
集中力を高めるポイント・その3 脳内回路を強化する
小学校の時に、図のような豆電球の回路を習ったことがあると思います。
私達の脳の中も、微弱な電流が流れており、簡単に言えば、このような回路が無数に集まった状態と言えます。
そして、何かを考えたり、思い出したりする時に、それぞれの回路に電気が流れているわけです。
従って、計算を速くできるという人は、脳の中の「計算回路」の中を電気が速く流れており、計算が遅い人は電気の流れが遅いわけです。
何かを素早く思いだせる時は、やはり回路の流れがスムーズですが、なかなか思いだせない時というのは、回路の流れが遅かったり、回路の連結がスムーズでなく、途切れ途切れだったりするわけです。
このような脳の仕組みを考えると、ご理解いただけると思いますが、記憶や学習を強化するためには、脳の中の電気回路の伝達をスムーズにする必要があるのです。
電気回路の流れをスムーズにするためには、頻回に電流を流してあげるのが一番です。
つまり「同じ作業を繰り返す」ということが、単純ですが、極めて有効な方法なのです。
集中力を高めるポイント・その4 スピードを意識する
集中力を高めるためには、脳内回路を強固にするだけでなく、電流が速く流れるようにする必要があります。
そのためには、スピード意識する、つまり、仕事や勉強などの作業をなるべく速くこなすよう意識する必要があります。
これは、スポーツでも同様です。
例えば、野球のボールを投げるのに、いつも遅い球しか投げていなかったら、投球フォームは身についても、速い球を投げられるようにはなりません。
「ボールを投げる」という回路は強化されても、電流は速く流れていないわけです。
では、どうすれば良いかというと、速いボールを意識して投げる必要があります。
そうすることによって、徐々に回路の流れが速くなるのです。
実際、人間の体内では、ドーパミンやアドレナリンといった、交感神経を刺激するホルモンが分泌されると、電気の流れは速くなります。
ですから、同じ仕事や勉強をするのにも、のんびりやるのではなく、意識してスピードを上げるのがポイントです。
ただし、焦って緊張しすぎてしまうと、ストレスホルモンが分泌されて逆効果になってしまいます。
焦らずにスピードだけ上げることを意識しましょう。
集中力を高めるポイント・その5 意識を切り替える
すごい集中力を発揮する人が、ふだんの日常生活でも常に高い集中力を維持しているかというと、必ずしもそんなことはありません。
マウンド上で高い集中力を発揮する田中将大投手も、ももクロの前ではデレッとしています。
では、なぜ、特定の場面で高い集中力を発揮できるのでしょうか。
彼らに共通している点は、意識を切り替えるためのトリガーを持っているということです。
トリガーとは、「引き金」という意味ですが、この場合は、集中モードに入るためのきっかけという意味になります。
田中将大投手の場合は、「マウンドに上がる」という行為がトリガーになって集中モードに入ります。
バッターも「打席に入る」という行為がトリガーになって集中モードに入ります。
我々医師は、手術着を着て、手袋をはめたら、集中モードに入ります。
このように、何かのきっかけで、意識を切り替えることが、いつでも集中力を発揮するための重要なポイントになります。
その簡単な方法はこちらでも紹介しています。
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