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加圧刺激は離れた臓器にも効く!!

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心臓手術後の合併症として頻度が高い急性腎障害のリスクを、血圧計のカフで上腕を強く加圧して虚血状態(血流の不足した状態)にする処置で減らせることが、ドイツで行われた臨床試験で明らかになりました。

カフ加圧を受けた群では72時間以内の急性腎障害発生率が15%低く、特に中等症~重症の急性腎障害では発生率が半減したそうです。

このような現象を遠隔虚血プレコンディショニングと言います。

まず、虚血プレコンディショニングとは何かというと、
虚血すなわち、血液が不足した状態を繰り返すと、
それに対する耐性ができることを言います。

たとえば、狭心症と言って、心臓の血管が狭くなっている人は、
心臓の筋肉への血流が悪くなっています。

しかし、何度も虚血(血液不足)を繰り返していると、耐性ができてくるので、
完全に血管が詰まって心筋梗塞になってもダメージが比較的少なくすむと言われています。

これが、「虚血プレコンディショニング」です。

では、「遠隔虚血プレコンディショニング」とは何かというと、
別な部位を虚血にしたら、それが遠隔の臓器にも効くという発想です。

たとえば、脚を虚血にしたら、狭心症に効くといったものが、「遠隔虚血プレコンディショニング」です。

今回の研究では、

腕を虚血にする → 腎臓の虚血に効果あり

という結果が出たわけです。

ちなみに、今回の臨床試験では、

急性腎障害リスクが高いと見なされた240人を、ランダムにカフ加圧群とカフ無加圧群に分けました。
両グループとも、麻酔導入後に一方の上腕(二の腕)に血圧計のカフを装着。

カフ加圧群には、遠隔虚血プレコンディショニング操作(200mmHgまたは収縮期血圧より50mmHg高い値になるまで加圧して、5分間虚血状態にし、その後5分間減圧するという操作を3回繰り返す)を実施しました。

カフ無加圧群には、シャム処置(虚血が生じないよう加圧は20mmHgまでとし、5分後に減圧するという操作を3回繰り返す)を行いました。

 その結果、急性腎障害は、カフ加圧群(120人)の45人(37.5%)カフ無加圧群(120人)の63人(52.5%)に発生し、
カフ加圧群では、急性腎障害の発生率が有意に低いことが判明しました。

 中症~重症の急性腎障害を経験した患者の割合は、カフ加圧群では12.5%であるのに対しカフ無加圧群では25.8%で、ほぼ半減していていました。
 

今回の研究は、血圧計を用いた加圧なので、私が研究している加圧トレーニングの加圧法とは異なりますが、おそらく加圧トレーニングにも同じような効果があると思われます。

たとえば、加圧トレーニングをやっていると、なぜか肝機能の数値が改善したりします。

これなどは、どういうメカニズムなのか、説明しづらいのですが、何か「遠隔効果」が起きていると考えられます。

もちろん、脳にも良い効果があって、脳を活性化するのに役立っていると考えられます。

 

「Effect of Remote Ischemic Preconditioning on Kidney Injury Among High-Risk Patients Undergoing Cardiac Surgery」より

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