何か一つ、新しい習慣を始めるとしたら、多くの相乗効果をもたらすものが良いでしょう。
そうした観点で、マラソンは一番オススメな習慣です。
なぜ、マラソンが良いのか、その理由を考えていきましょう。
ポイント1:
ジョギングが継続できる
健康のためにジョギングをしようと考えている人は多いのではないでしょうか。でも、実際に継続するのはなかなか難しいものです。
私も以前に何度かトライしては、継続できずに終わっていました。
そんな私が、8年前から走る習慣をずっと継続しています。そして、フルマラソンにも何度も出場し、完走しました。
いったい、何が私を変えたのでしょうか?
その秘密は目標を設定したことにあります。
フルマラソン出場という目標を設定したことにより、走らざるを得ない状況になったのです。
いくら健康のためにジョギングしようと思っても、その目的があまりにも遠いと、モチベーションが維持できません。
あるいは目的すらなく始める人も多いことでしょう。そういう人はどうしても長続きしないのです。
そこで、比較的近い目標を設定することで、継続して運動できるようになるのです。
目標を設定するというのは、言い換えれば締切りを設定するようなものです。定期試験の勉強は一夜漬けでもいけるかもしれませんが、マラソンはそうはいきません。
期限に合わせて準備する必要があります。
そうすると、必然的にジョギングできるようになるのです。
ポイント2 : ダイエットが楽々できる
厚生労働省の統計によりますと、日本人の肥満の割合は10年前に比べて3割増加しているそうです。
体重コントロールを心がけている人の割合、つまりダイエットを意識している人の割合は、男性で約6割、女性では7割にものぼります。
しかし、実際に体重を減らすとなると、なかなか難しいのが現状です。ところが、マラソンを始めたらダイエットも楽々できてしまうのです。
体重を減らす、つまり脂肪を燃焼するためには、消費カロリーをアップする必要があります。みなさんの体にまとわりついた脂肪を1kg燃焼するのにどのくらいのカロリーが必要かご存知でしょうか。
脂肪1kgを燃焼するのに、およそ7000kcalが必要だと言われています。
いきなり、7000kcalと言われても、どのくらい運動すればいいか、ちょっとイメージがわきにくいと思います。
そこで、走った時のカロリー消費量を推定する簡単な目安をご紹介しましょう。
走るスピードに関係なく、1km走ると体重1kgあたり、1kcal消費します。
つまり、体重70kgの人が1km走ると、70kcal消費することになります。10km走れば、700kcal消費するのです。
したがって、1月に100km走れば、7000kcalの消費、つまり脂肪1kg分燃焼するわけです。
しかも、実際には運動することで、代謝がアップするので、もっとカロリーを消費しやすい体になります。
ですから、マラソンをすると今までできなかったダイエットがラクラクできるというわけです。
ポイント3: 体力もアップする
図は、文部科学省がおこなった体力テストの結果です。
日本人の平均的な体力は、10代後半から20歳までをピークにその後は徐々に低下していいきます。
これは、加齢による変化なのでしょうか。歳と共に体力が低下するのは、やむを得ないのでしょうか?
でも良く考えてみてください。ほとんどの人は、若い時の方がよく動いていて、歳をとると運動する機会が減ってあまり動かなくなります。
体を動かさなければ、体力を維持することはできません。ですから、年々体力が低下するのも当然の結果と言えます。
では、マラソンをしたらどうなるでしょうか。
「もう歳だからだめだ」と思っていたあなた。あなたも体力をアップすることができます。
私の知り合いの女性で、70歳を過ぎているのに、フルマラソンで4時間を切った人がいます。
いつもマラソン大会では、年代別で1位になっています。この方は昔からアスリートだったかというと、決してそうではありません。マラソンを始めたのは、60代の半ばからで、それまでは朝犬の散歩をしていただけなのです。
みなさんも大会に参加したらわかりますが、見た目はどうみても「おじいさん」といった高齢の人に、あっさり抜かれることがあります。「こんなお年寄りが自分より速いのか?」と驚かされます。
そういう人は特殊な人間なのでしょうか?特別、体力的に優れているのでしょうか。
決してそんなことはないのです。
適切な練習をして、適切な休息をとれば、徐々に体力は向上していきます。
それを続けることで、体力はアップしていくのです。
ポイント4: 健康になれる
太りすぎを放置しておくとメタボになります。メタボを放っておくと、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が悪化していきます。生活習慣病を放っておくと、動脈硬化になります。
動脈硬化の人の体の中はどうなっているかご存知でしょうか。血液は、俗に言われる「ドロドロ血」の状態です。ドロドロ、ベトベトして、すぐ固まってしまいます。
血液の流れも淀んでいます。動脈硬化は全身の病気なので、心臓、脳、脚など全身の血管が悪くなります。プラークといって、コレステロールの塊のようなものが、血管の中にこびりついて、狭くなってしまうのです。
こうした動脈硬化の患者さんの脚の血液の流れを検査すると、ドヨ~ンとよどんで流れが悪いのです。普段運動不足で、あまり脚を使っていないから、流れが悪いのも当然といえば当然ですね。
江戸時代の儒学者、貝原益軒が健康法について記した「養生訓」の中に、
流水腐らず、戸枢(こすう)むしばまざるは、動けばなり
という文章があります。
よどんでいる水は腐ってしまうけれども、流れている水は腐らない。これは、まさに血液の流れのことです。江戸時代から、血液はサラサラにしなければいけないことが説かれていたのです。
また、戸枢というのは扉の軸のことです。人間の体でいえば、関節です。関節も動かしていれば、錆びつかないということです。
では、血液の流れを良くするにはどうしたらいいでしょうか。
それにはやはり走るのが一番です。
私たちが安静にしている時に、心臓から送り出される血液の量は、1分間に4リットルくらいです。ところが、走っている時は、心臓の収縮が強まります。一回の収縮で送り出す血液が2倍くらいに増えます。
さらに脈拍数も安静時に1分間60回くらいだったのが、120回から150回くらいまで上がります。つまり、2~2.倍くらいになります。
これらをかけ合わせると、1分間に送り出される血液の量は4倍から5倍くらいに増えるのです。
しかも、増えた血液の多くが脚に流れていくので、脚の循環がよくなるわけです。
私は現在49歳ですが、血圧も血糖値もコレステロールも正常値をキープしています。
これは、やはり走って血液をさらさらにしている効果が大きいと思います。みなさんも、走って血液をサラサラにすれば、健康な体になれるのです。
ポイント5: 脳が活性化する
マラソンの相乗効果の中でも一番は、脳の活性化でしょう。
最近の脳科学の研究で、運動が脳を活性化するというデータが次々と出ています。マラソンもその例外ではありません。
京大名誉教授の久保田競先生の研究によると、1日30分、週3回走ったグループは、何もしなかったグループに比べて、30%もテストの成績が上がったそうです。
なぜ、走ることが脳にいいのでしょうか。
実は、走る動作というのは、一見単純に見えますが、複雑なのです。動き続ける中で、常に体のバランスを保ち、障害物なども瞬時によけなければなりません。めまぐるしく脳を活動させないと、成り立たない動作なのです。
また、ランニングを続けることで、脳の中の海馬という部分が大きくなることがわかっています。
海馬は記憶に関係した箇所なので、走ると記憶力もアップすると言えます。
他にも効用があります。メンタル面の安定です。
前述したように、人間の体は自律神経によって調節されています。
自律神経には、交感神経と副交換神経の2種類があります。
運動するときや緊張したときは、交感神経が活発に働き、脈拍や血圧があがります。みなさんも緊張したときに、胸がバクバクなった経験があると思います。そんな時は、交感神経が過剰に働いているのです。
逆に眠っているときや安静にしているときは、副交感神経が働き、脈拍はゆっくりになります。これは、リラックスした状態です。
マラソンをやっていると、走っているときは当然脈が速くなりますが、逆に安静にしているときの脈拍はゆっくりになります。
これは、どういうことかというと、安静の時に働く副交感神経がしっかり働いていて、緊張したときに働く交感神経を抑えているということです。つまり、緊張しづらくなるのです。
普通に考えても、脈がゆっくりのまま緊張するのは難しいですよね。
実際、ベータ遮断薬といって、交感神経の働きを抑える薬を飲むと脈がゆっくりになり、人前でも緊張しにくくなります。
それに匹敵する、あるいはそれ以上の効果がマラソンにはあるということです。
ポイント6: 禁煙なんて問題外
タバコが有害なのは言うまでありません。
では、タバコを吸い続けると、どんな弊害があるでしょうか。
よく知られているのは、肺がんです。
タバコを吸えば確実に、肺がんになる危険性は高まります。
肺がんにならなくても、肺気腫といって肺が硬くなってしまい、将来呼吸が苦しくなったり、いろいろな弊害が出ます。
たばこは動脈硬化も促進します。将来心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高くなるのです。要するに、たばこは全身に悪影響をおよぼすのです。
このように百害あって一利なしのタバコですが、なかなか止められない人が多いのも事実です。
その理由は主に2つあります。タバコ自体の中毒性、そしてもう一つの理由は、「悪い結果がすぐには出ない」ということです。
タバコの中毒性は特殊で、きっぱりやめていたはずが、「一本くらいいいだろう」と思って吸ってしまうと、また元のように吸い出してしまうのです。
また、悪い結果がすぐには出ないので、タバコを吸った時の気分の良さとか、リラックスできるといった目先のメリットを優先してしまうのです。
このように、やめるかやめないかといった当落線上のレベルで議論していては、だめなのです。
マラソンをやるようになったら、そんなことは言ってられません。
タバコを吸いながらは走れませんし、普段タバコを吸っている人は、肺活量も落ちているし、酸素を取り込む能力も低下しています。
同じ筋力があっても、早く息が上がってしまいます。
こんな損な話はありません。
タバコを吸っていると、肺活量が3割程度低下します。しかし、これは早い段階であれば、禁煙することによって回復します。
また、酸素を取り込む能力も、タバコをやめれば回復します。
つまり、タバコをやめるだけでも、マラソンのタイムがよくなるのです。練習しなくてもタイムが良くなるなんて、こんなお得な話はありませんね。
ですから、マラソンに真剣に取り組むなら、たばこはやめるしかないのです。
やめない理由はないのです。
そういうレベルになれば、禁煙なんて簡単です。
そもそも禁煙という言葉があるから、難しく考えてしまうのです。他の有毒物質をさけるのに、「禁毒」するなんて言いませんよね。
タバコだけ特別扱いせずに、良くないものは良くないものとして扱えばいいのです。
ポイント7: オセロのように人脈が変わる
マラソンと人脈、一見関係なさそうに見えますが、実は大いにあるのです。
Cさんは都内の企業に務めるビジネスマンです。1年前から、マラソンを始めました。
運動していなかった頃のCさんは会社の帰りに同僚と飲みに行ったり、飲み会の時も二次会三次会と、はしごしたりたしていました。でも、マラソンを始めたら、そうはいきません
夜練習する日は、仕事を早めに斬り上げて、走りにいかなければなりません。
同僚と一杯飲みに行くことはほとんど無くなりました。
気がつくと、それまでの、だらだらとした付き合い、非生産性的な付き合いが減っていました。
その代わりに、同じ志を持つ仲間との交流が増えてきたのです。
このように、同じ目標に向かう人達と交流するだけでも張り合いが出ますが、マラソンの人脈効果はそれだけではありません。
なぜか、企業の経営者は、マラソンやトライアスロンに挑む人が多いのです。
それは、いったいなぜでしょうか。
ひとつは、自己管理が上げられます。
企業経営者の中には、若いころは銀座を飲み歩いたり、無茶をしていた人も多いでしょう。
しかし、ある程度の年齢になるとそうはいきません。
心身ともにきちんとした自己管理ができなければ、企業も社員も守っていけません。
また、企業を経営して行く過程には、様々な困難があります。
それを乗り越えていく過程と、マラソンで困難を乗り越える過程には共通点があるようです。
それに、いろいろな悩みも走りながら考えているうちに、いいアイディアが浮かんだり、悩みが解消されてスッキリすることも多いのです。
そして、今までに述べたような、マラソンの数々の効果、これらがレベルの高い人達を釘付けにするのではないでしょうか。
このような人たちと交流することで、運動不足だったころのネガティブな人脈から、一転してポジティブな人脈へとあなたの世界が変わっていくことでしょう。
こうして、見ていくと、マラソンというひとつの習慣を取り入れるだけで、数えきれないくらいの相乗効果があることがわかります。
どうせ、何かひとつ新しい習慣を始めるのであれば、このような相乗効果の大きい習慣から始めしょう。
そして、新しい習慣が定着するころには、あなたは別人になっていることでしょう。
***************************************
ブログ、HP以外にメルマガでも、みなさんのお役に立つ情報を配信しています。
また、今だから書ける病院の裏話など、ブログには書けない内容も配信しています。
ご興味のある方は、下記よりお申込みください。